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可愛いヒモの育て方。
第15章 喫茶店

私はコーヒーにミルクと砂糖を淹れて、一口飲んだ。まだ熱いけど、話してる間に少し冷めた。
「美味いか?」
「んー、普通に」
そこまでコーヒー通なわけではないし、味の微細な違いがわかるほど味覚は冴えていないのだ。苦すぎずに飲みやすいけど、美味しいかと聞かれても、普通としか思わなかった。
マサルが吹き出す。
「なんとも言えない感想だな」
「コーヒーに、あんまり美味しい不味いってないじゃん。でも、ブリュレはすごく美味しい」
私はスプーンで表面のパリパリを割りながら、緑色のそれを口に入れ、感想を述べた。甘すぎなくて美味しい。美味しいし、抹茶のブリュレは初めて食べた。
「デザートの評判はすこぶるいいんだよ」
「客いないのに?」
「うるせーな。平日の午後なんてこんなもんだよ」
マサルはまた、笑う。こんなによく笑う人だったっけ、なんて考えた。
「彩乃に言われて、ここに来たわけじゃないよ」
「ん?」
何分前の問いかけだったか。改めて、マサルの問いに返答する。
「確かに彩乃も、マサルが喫茶店をしてると話してたし、メモもくれたけど、来るつもりはなかったし」

