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可愛いヒモの育て方。
第15章 喫茶店

マサルはくつくつと、喉の奥で笑う。今までの笑い声とは違い、皮肉を含んでいた。
「そういうところはガキのまんまだな」
「な……」
馬鹿にされ、ムキになって言い返そうとした時。喫茶店のドアが開き、ちりんちりんと呼び鈴が鳴った。
入ってきたのは、若い男性だ。マサルはすぐに席を離れ、接客に向かった。
確かに、マサルに比べたら、私はまだまだガキかもしれない。七年たった今でさえ、付き合っていた頃のマサルの年齢に追い付いてないし。でもむかつく。
私はコーヒーを飲みほし、ブリュレを食べ終えた。
ここに来ても、ほとんど意味なんてなかった。居心地が悪いだけだ。もう帰ろう。
伝票で金額を確認しようとして、金額の下に『勝』という文字を見つけた。伝票を打った人の名前。これでマサルと読むのだと、初めて知った。どんな字を書くのか、今まで知らなかった。
私の知らないマサルの一面を知るたびに、惨めな思いになるばかりだ。
席を立とうとした時。コトンと、テーブルの上にティーカップが置かれた。
「……何? 私もう帰るんだけど」
「カモミールティーだよ。金はいいから飲んでいけ。一番のオススメだ」

