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可愛いヒモの育て方。
第15章 喫茶店
「……結婚とか、奥さんとか、喫茶店とか、マサルらしくない」
「そりゃ、もう俺も年だしな。確かにあの頃は、そんなの全然考えてなかったけど。おまえが俺にどんなイメージ持ってたか知らねーけど、記憶ほど曖昧なものなんてねーよ。自分の頭で好きに捏造できるし、そうじゃなくたって勝手に忘れてく」
「話してるマサルの感じは、まあまあそのまんまだけどね」
マサルは少しだけ、間をあけた。
「おまえは少し変わったな。昔はもっとよく喋ってたし、笑ってた」
その言葉に、昔の自分を思い返そうとしたけれど、なかなか思い出せなかった。マサルの気を引くのに必死だった記憶しかない。
そう考えると確かに、あの頃マサルに見せていた自分が、偽りのない素の自分かと言われれば、自信がなかった。
「お互い様だったのかな……」
その結論に、妙に納得してしまって、苦笑がこぼれた。
記憶の中のマサルを悪者みたいにしてたけど、だいぶ脳内で捏造していた部分があったみたいだ。誤解だってあった。
「俺は、恋愛だけじゃねーけどいろいろ面倒くさがりだし、誰かを知ろうと必死になるのは無理だけど、友梨香はそういうの好きなんだろ?」