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可愛いヒモの育て方。
第15章 喫茶店

「好きってゆーか……、興味持ったら知りたくなる」
「ならそれでいいじゃん。俺が昔言った言葉なんて、どうだっていいだろ。恋愛のタイプも価値観も、人それぞれなんだしよ。そのまんまのスタンス貫けよ」

 まただ。一見突き放すようなマサルの言葉は、なぜかとても優しい響きを持っていた。
 ふいに思い出した。
 そうだ、あの時も。知ろうとするな。拒絶してきたくせに、そう言った時のマサルの声はとても優しい響きを持っていたのだ。もしかしたら、余裕もなくて、マサルを知ることに必死だった私に、そんなに必死にならなくていいと言いたかっただけかもしれない。そこに悪意は、多分ないんだろう。
 どうせ記憶を捏造するなら、せめていい解釈をしてやろうと決めた。

「説教とかうざいし。言われなくても、自由に行くわ」

 マサルは笑った。
 そうしてカウンターへと戻っていく。
 私はちょうど飲み頃になった紅茶を飲み干し、今度こそ席を立った。伝票を持って、会計に向かう。

「ごちそうさまでした」
「おう、ありがとーございました」

 なんて感情のこもらないありがとうございましただ。
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