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可愛いヒモの育て方。
第16章 削除
ぱらぱらと読み飛ばしながら、一つずつ、小説たちを削除していった。
完結しているものも、途中で投げ出してしまったものも、フォルダの中のものも、小説サイトに掲載しているものも、マサルがベースになっているものは全て削除するつもりでいた。
別に自棄になっているわけじゃない。過去の男なんか一掃し、また新しく書けばいい。そう思ったからだ。
フォルダ内のを削除し、サイトに掲載していたものを削除し、読んでくれていた読者の皆さまに、削除した理由や放置していたお詫びなどもお知らせし、小説の整理も一段落した頃。
彩乃への電話を折り返そうと、携帯を探した。途中懐かしくなって読んだりもしていたからか、帰ってきてから三時間くらい経っていた。
彩乃は電話に出るだろうか。
「あれ、私携帯どこに置いたっけ?」
パソコンの隣にない。
周辺を探すと、床の上に転がっていた。携帯を開くと、そこには一件のメール。
誰だろう?
確認すると、麻人からだった。
『こんばんは。今日、友梨香さんちに行ってもいいですか?』
相変わらずの用件メール。