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可愛いヒモの育て方。
第16章 削除
シンプルなそれに、口元が綻ぶ。
メールは一時間前に届いていた。
私はすぐに、麻人に電話をかけた。
「はい」
一回目のコールが鳴り終わらないうちに、麻人は電話に出た。
「あ、もしもし」
「もしもしー」
「ごめんね、メール気付かなかった。いつでも来ていいよー。今家?」
「いや……」
麻人はそこで、言葉を濁した。
「どこにいるん? 大学?」
「友梨香さんちの、アパートの駐車場です」
「え!? もう着いてんの? なら入っておいでよ」
「はーい」
通話が切れる。
メールは一時間前に届いていた。もしかして、結構車で待ってたのかな。
私は暖房の温度を上げ、玄関に向かった。
間もなく、チャイムが鳴る。ドアを開けてあげると、パーカー姿の麻人がいた。
「入りな」
招き入れると、麻人はぺこりと頭を下げた。
「……なんか、久しぶりだね。就活順調?」
「はい」
「てか、なんで駐車場なんかにいたの?」
「あー……友梨香さんの車があったから、いるかなって思って」
「いるって思ってるなら、うちまで来れば良かったのに。寒かったでしょ?」