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可愛いヒモの育て方。
第16章 削除

いつもなら、チャイムを鳴らしてずけずけ入ってくるし、連絡もなくいきなり来ることもあった。
メールに私が気付かなかったとはいえ、おとなしく、駐車場で待ってるなんて麻人らしくない。
だけどそこまで考えて、はっとした。
そういえば、麻人の荷物、全部突き返しちゃったんだっけ。就活するから来れないって言われて、それにむかついて、冷たい言葉を投げつけてしまった。
「……ごめんね」
「何がですか?」
「この前酷いこと言っちゃったからさ……」
麻人は言葉を探すように、視線を移ろわせた。なんだかしおらしい麻人の反応。やっぱり、荷物を全部片付けさせたこと、気にしていたのかな。
「んー……、また来てもいいのかなって、ちょっと思った」
「いいよ。来たい時にきて。この前は、二日酔いで少しイライラしてただけ。ほんとにごめんね」
本当は、麻人になかなか会えなくなるのが嫌でつい当たってしまっただけだった。我ながら大人げない。
私は麻人の両頬に、手のひらを当てた。麻人がぴくりと視線をあげる。
「部屋、行こう? 暖房効いてるよ」

