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可愛いヒモの育て方。
第16章 削除

案の定麻人のほっぺは冷たくて、私はすぐに、部屋に行こうと促した。
部屋のドアを開けるなり、麻人がぎょっとしたように叫ぶ。
「汚っ!」
仕方ない。文字通り、足の踏み場もないような状況なのだ。
「いつも汚いけど、今日ヤバっ!」
「ずっと休みなかったし、ほら、掃除する暇がね、なかったんだよ」
「掃除しなくても、物をちゃんと整理すればこんなにはなりません! ゴミはゴミ箱に捨てるとか、何か出したらあった場所に片付けるとか、掃除ができないなら、せめて散らからないように普段から気をつけてくださいよ! まったく、人住めるんですかこれ……」
「現在進行形で二四のオナゴが住んでるよ!」
麻人の前でピースしてみる。さっきまでのしおらしさはどこへやら、母親のような顔で、私を睨んできた。
「もう、ゴキブリさんって呼びますよ!」
「虫!?」
しかもご丁寧に、『さん』はつけてくれるらしい。だからなんで、変なところで律儀なんだ。
「ほら、掃除しますよ! 友梨香さんはゴミ袋にゴミを捨ててください!」
「え、してくれるんじゃないの? 掃除」
「俺一人じゃ無理! てか、掃除のやり方教えます!」

