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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第2章 恋の唄
 その時、部屋の外が騒がしくなった。何事かと徳姫が息を呑んでいると、ほどなく廊下に面した障子が音を立てて開いた。
「母上、また、軽い発作を起これされたとお聞きしましたが、大事ございませぬか」
 そこで、声の主が初めて気付いたように、徳姫を見た。
「や、これは、内々の客人と聞いてはいましたが、まさか、あなただとは思いませんでした」
 長尾佐治郎保邦―かつて長戸佐治郎と名乗っていた男は、破顔した。
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