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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第2章 恋の唄
 保邦はおもむろに立ち上がり、部屋の障子を開けた。
 半開きになった向こうに、庭がかいま見える。朱(あけ)の色に染まった紅葉が風もないのに、はらはら、はらはらと舞い踊る。
「さりながら、聞き捨てならぬ噂がございます。先の奥方さまがお亡くなりあそばされる現場に、幼い勝太郎君がいたというのです」
「―そ、そんな」
 語尾が、震える。
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