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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第3章 転機
 その夜、徳姫は湯殿でいつもより丹念に身体を侍女たちによって磨かれ、その後、自室で葛木に化粧を施された。徳姫の丈なす黒髪を丁寧に梳きながら、葛木が時々、小さな溜息を洩らすのを徳姫は他人事のように聞いていた。
 心を殺さねば、これから我が事に起こるであろうことは到底耐えられそうにない。
 たとえ何があっても、どうなろうと、今宵一晩だけは、心を空にするのだと徳姫は我と我が身に言い聞かせた。
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