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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第3章 転機
その時、冷たいものが頬に触れ、徳姫はハッと頭上を見上げた。とうとう雨が降ってきたようだ。雨粒が折り重なった鈍色の雲間から落ち始めている。
踵を返して駆け出した彼女の後を、邦昭が余裕たっぷりの表情で歩いてくる。
真正面には〝無想庵〟の額が掲げられた茶室がひっそりと佇んでいた。
徳姫は無想庵の前でゆく手を遮られた形になった。邦昭の唇がニヤリと卑猥な笑みの形を象る。直に追いついた邦昭に腕を掴まれ、徳姫は無想庵の中に連れ込まれた。
踵を返して駆け出した彼女の後を、邦昭が余裕たっぷりの表情で歩いてくる。
真正面には〝無想庵〟の額が掲げられた茶室がひっそりと佇んでいた。
徳姫は無想庵の前でゆく手を遮られた形になった。邦昭の唇がニヤリと卑猥な笑みの形を象る。直に追いついた邦昭に腕を掴まれ、徳姫は無想庵の中に連れ込まれた。