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第3章 転機

「ち、違います。私は、保邦さまと情を通わせたりなど致してはおりませぬ。すべては私一人の身勝手な想いにございます。あのお方は本当に何もご存じないのです！」
　悲愴な表情で訴える徳姫を、邦昭が烈しい眼で睨んだ。
「そなた一人の身勝手な想いだと？　では、そなたは、やはり保邦を好いておるのだな」
　しまった、と思ったときには遅かった。
　つい本音が洩れてしまったのだが、かえって、それが邦昭の怒りを煽ったのである。