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姫はひそやかに咲き乱れる~戦国恋華【れんか】~
第4章 花冷え
 たった一日なのに、徳姫は次の日が来るのが待ち遠しくてならなかった。保邦が現れるまで、檻の中の熊のように所在なげに部屋中をうろつき回り、いざ保邦がやって来ると、慌てて文机の前に飛んでいって、さも大人しく待っていたかのように澄ました顔で座る。
「姫さま、それではまるで花見にゆくのを心待ちにする童のようにございますよ」
 傍で見ていた葛木はそう言って笑いながら、徳姫の慕う男とは、やはり保邦であったのだと己れの読みが当たっていたことを知った。 
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