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第4章 花冷え

　その十日後、早馬がほぼ相次いで永尾城に到着した。最初の使者は徳姫の故国月山からで、弟月丸が五日前の早暁、眠るように息を引き取ったとの知らせだった。
　そして、今一つは京よりの早馬で、永尾国の国主長尾邦昭が京に入る直前、何者かによって暗殺されたとの報であった。
　次いでもたらされた早馬の使者は涙ながらに報告した。
―卑怯にも殿を誅殺したのは、将軍足利氏家公の手の者なり。