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第4章 花冷え

　猜疑心の強い氏家は邦昭の上洛に対して強い危機感を憶えていたらしい。すわ邦昭上洛と聞いて、我が生命を狙いに来たと勘違いしたのだ。
―邦昭めに予は暗殺される。
　と、まるで狂人のように喚き散らし、家臣に邦昭を絶対に都に入れてはならぬと厳命したという。
　邦昭はさる寺に投宿していたところ、深夜に奇襲をかけられたことが禍した。よく戦い抜いたものの、寺は炎上、邦昭は奮戦の末、焔の中で自ら腹を切って果てた。