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執事はお嫌いですか?
第5章 主人と執事とお客さんと
「榊先輩と話ししてただけ。
あと、名前普通に呼んでもらえるようになった・・・!」
「・・・俺が選んでいる間に、なんでそんな展開になったんだ・・・?」
「斎様、それは秘密です。
ね、春くん」
「はい」

春くんに会う前は警戒していたが、ここまで親切で良い人だとは思っていなかったので、あっさりと、拍子抜けに近いくらいで警戒を解いた。

斎にはいい友人だなぁ・・・としんみり。
こんな良い友人が居れば、純粋に育つわけだ・・・。

「お菓子も買ったし・・・クロ、後は夕飯だ」

目当てのお菓子や一目惚れの抱き枕も買えて満足気味の斎は、最終目的、夕飯についてもほくほくの様だ。

「ですね。
決まっていますか?」
「うん。
今日の夕飯は特別だ・・・!」
「特別――?」
「クロ、耳かして」
「はい・・・?」

俺はしゃがみ、斎は背伸びをし、口を近づける。
至近距離の斎に不意にドキリとしながら、斎が告げたメニューに一瞬動揺する。

「え、それでいいんですか?」
「うん。
春もいいと言っていた」

春くんに視線を向けると、「おっけーです」の一言。

「――わかりました。
帰ったら作ります。

まずは・・・買える前に材料、集めましょうか」
「ん・・・!」
「はい・・・!」

俺はカートを押し、右には斎、左は春くんと並んで歩く。
合わない歩幅を斎に合し、ゆっくりと進みながらくだらない話をした。













「――クロの夕飯楽しみだ・・・!」

すでに想像がついて上機嫌の斎はニコニコと笑っているが、俺はサクっと言葉を挟む。

「斎様、今夜はピーマン、入れますよ」

真顔で言うと、斎は眼を泳がせた。

「・・・・」
「斎、残念」
「・・・た、食べれるから別に残念ではない・・・」
「本当ですか?」
「斎嘘は良くないよ・・・?」

二人でじりじりと追い詰めていくと、斎は顔を逸らす。

「う、嘘じゃないって言ったら嘘になるかもしれないが・・・」

「食べれないんですね」
「ですね」

クスクス笑うと、斎は反逆するように言った。

「鼻つまんで食べるからいい・・・!」

それに対して、俺は苦笑、春くんは大爆笑なのであった。

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