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執事はお嫌いですか?
第7章 ✤✤✤
「――まあ、わかってるなら良し!
現に、なぜか良い感じに進んでるみたいだし!
のぼせた後から何か先輩とも吹っ切れたみたいだったけど、何かしたの?
というか大丈夫だった・・・?」
ゆったりな空気に頬を緩めて浸っていると、まさかの質問に思わず固まった。
心の中が波打つ。
「えっ!!
あ~~~のぼせたのは、だい、じょうぶ・・・。
その後は・・・別に、な・・・んもしてな、い・・・」
言い訳の言葉を考えても、クロのことばかり止めどなくポワポワ浮かんでくるから・・・。
「わ、わかりやすい!ビックリするほどわかりやすい!」
「何にもなかったから!」
「はいはい」
言い訳なんて上手く言えない。
言葉を紡げない。
自分以外の体温とか。
鼓動とか。
吐息とか。
安心した――。
ドキドキもしたけど・・・。
「い、斎?」
「あぁ~~~ほんと恥ずかしいな!クロのバカ!」
「俺、何度のろけ見せられてるの?
昨日のこと、訊いただけなんだけどなあ~」
俺はすっかり春の存在を忘れて、頭の中をクロで埋めていってしまう。
さっきの照れ顔はズルいにもほどがある。
無駄に意識、しちゃうじゃん――。
いや、俺はいつからこういう乙女チックな人間になったんだ。
なぜ、また振り回されている?
「まっ、二人らしく築けてるみたいだしいいね。
いつきぃ~~~俺、寂しいよ~」
突拍子に駆け寄って来た春は、いきなりギュウっと抱きつき、頬を寄せる。
「さ、寂しい?な、なんで?」
「寂しいもんは寂しいの。
なんて言うの?とりあえず寂しいんです。
俺、斎のこと幼馴染っていうかもう兄弟というか、そんな風に思ってるから」
春はさり気なく嬉しいことを言ってくれる。
親同士の親睦もあると思うけど、やっぱり春のこういう人柄でこの関係が続いてる部分もあるのだろうと思った。