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執事はお嫌いですか?
第3章 主人と執事の難問距離問題
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▼斎視点


「クロ・・・そろそろ離せ・・・」
「嫌です」


わざと怒った顔を向けるけど、クロの表情は一つも変わらない。
まだ少し拗ねているのか、頑固だ。

俺はなぜかクロに手を繋がれ、帰路についていた。
高校1年にもなって、保護者に手を繋がれている子供みたいで俺はかなり恥ずかしい――。

他に帰路につく生徒にジロジロ見られていてる。

思っていた以上に注目されてる・・・!

助けを求め、ちらりとクロを見てみる。
密かに嬉しそうな顔。

男同士で手を繋いで、何がそんなにいいんだか・・・!と、ばれないようにじっと見つめた。

クロってよく見ると、男にしては、まつ毛長いし、顔は綺麗だし――。
細いけど決して華奢ではないしな――。

いいな・・・。
モテそうだし・・・。

お、こんなところにホクロ・・・。

悪戯本意で、背が高いクロに手を伸ばし、うなじに触れる。

「ッ!?」

途端にビクン!とクロの肩が跳ね上がった。
つられて近くに居た俺も跳ねたが、笑いの方が強かった。

「ふはっ・・・ごめん・・・ふっ」

ふふ。と俺は笑ってしまう。

今の反応、ちょっと可愛かった――。

「斎様・・・何してるんですか・・・」

くすぐったかったのか、首筋に手を当てさするクロは少し照れくさい顔をして俺を見る。

「ちょっと気になって。
クロ、肌白いし髪さらさらだし・・・」

背伸びをして、さらりとクロの髪を擦ってみる。

「・・・」
「綺麗だな・・・」

深い黒色の髪・・・白い肌が栄えてる・・・。

もそもそと触れていると、クロが頭をしゃがませてきた。

顔が近い――。
俺との視線が当たった――――。

「クロ・・・?」
「・・・・斎・・・・」

スルリと手を近づけ、俺のおでこへと合わせると前髪をそっと上げる―――


チュ―――

・・・えッ・・・?

“ばーか”

そう聞こえたときには、顔は離れている。

「クロ・・・」
「斎が悪い」

クロは俺の手を引くと、何事もなかったように歩き出した。

・・・ん・・・?


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