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執事はお嫌いですか?
第4章 主人と執事の迷想
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「おーい九条。この教材準備室まで運んでいってくれー」
「あ、はい」


いつもの午後。
一日最後の授業が終わり、俺は先生に呼ばれた。

「お前日直だよな。これ、宜しく」

ドン。と教卓に置かれた大量のノートと教材を見て、内心嫌になったが作り笑いで何とかごまかした。

「九条はしっかりしてるから助かるなぁ・・・

あ、でもしっかするのはいいがクラスメイトとは馴染めよー。
“九条”っていう名背負ってるからって馴染む努力はしろ。
入学して日数も経つし、そろそろ“友人”と呼べる奴作れ―――俺も心配だぞ。

――じゃあ、これ宜しくな」
「・・・はい」

去っていく先生の背中を見ながら俺は小さく息をはくと、さっそく重たいノートと教材を持って教室から出て行った。







早歩きで通り過ぎる教室からは、帰宅する準備をしながら明るく話す声が聞こえてくる。
一度立ち止まって廊下側の窓から見つめてみると、男女仲良くじゃれている姿が見えた。

俺の脳裏には、その姿がとても楽しそうで華やかに映った。

「――――・・・・早く持っていかなきゃな・・・」

ぽそりとそんな言葉が出ると、俺は準備室に急いだ。








「失礼しまーす・・・」

ドアを開けて中に入ってみると、誰もいなかった。
開けっ放しにされた窓から自由に風が入ってきており、カーテンが大きくなびいているだけ。

「いないのか・・・」

空いていた机に教材とノートを置くと、目の前にあった椅子に座ってはぁぁぁ・・・と長い溜息をついた。

きだるい背中をもたれ、天井を仰ぐ。

「・・・・別に一人が悪いことじゃないだろ・・・ほっとけ――」

自然に愚痴が漏れてきた。

ああ言われる意味がわからない・・・。

馴染めなくたって、一人だっていい。
馴染まなくたっていい・・・。

それに家の事は関係無い・・・

持ち出してくる意味もわからない――

嫌だ・・・・・



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