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執事はお嫌いですか?
第5章 主人と執事とお客さんと
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▼斎視点



日差しが柔らかいこの時期らしい朝。


「自主研修・・・?」
「はい、自主研修です」

春が泊まりに来るこの日。
俺はいつもと何も変わらない、たわいの無い話をしながらクロが用意する美味しそうな朝食を前に欠伸をした。

「その自主研修って、一学期そうそうあるのか・・・」
「はい。

私が1年のときに聞いた話ですが、高校入学で緊張した新入生たちが他校から来た新しいクラスメイトと共に学校生活に慣れて、しかも仲良くなって一石二鳥。

みたいな理由でした。
そろそろ行う時期ですし、説明会があると思いますよ」
「――何か適当な理由だな・・・
しかもそろそろって・・・」
「そうですね」

クロは苦笑。
俺は「面倒だな・・・」と朝から言葉を濁す。

なんせ人付き合いがしっかりできない俺は苦にしかならない。

それをどこで、何日間続けるのだろう・・・?

「それってどこであるんだ?」
「学校です」
「・・・ん?学校ってどこの――」
「私たちが通っているところです」
「・・・・」

嘘ついてるだろ・・・。という顔すると、クロの真剣な目は揺るがない。

「―――なんで学校なんだ・・・」

俺は諦めて、話を再開する。

「校内、無駄に設備が整ってますから、1学年泊まるくらいどうてことないみたいです。
教室も体育館も広いですし・・・まあ、一応私立ですから――・・・」
「なるほど・・・」

その分、修学旅行とか豪華なんだろうか・・・とふいに思った。

「そういえばクロはその時期、修学旅行なのか?」
「いえ。修学旅行はまだ後です。

その代わり、私は1年の自主研修の監督生徒です」

クロは食器を配る手を止めて、俺に満面の笑みを見せてきた。

はぁ・・・?

「そ、それは、嘘だろ・・・」
「嘘じゃないです。」

焦りだす顔を見て、クロはまた小さく笑った。



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