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執事はお嫌いですか?
第5章 主人と執事とお客さんと
「一週間前に先生から直々に頼まれたので、もちろんお受けしました」
「何で受けるんだよう・・・この変態執事・・・!」
「斎様はわかっていてそれを訊きますか?」

しゃがみこんで耳元へ口を近づけてくると、“斎と色々したいんだけどな”と囁いた。

色々って――・・・
色々って―――・・・

今までの経験上――・・・もうされることが薄々わかっちゃうじゃんか・・・

もう嫌なことしか思い浮かばない。

「あれ、斎様。頬が赤いですよ?」
「う、うるさい・・・!」

俺は「いただきます・・・!」と手を合わせると、クロが作ったおかずに口をつけた。

相変わらず、ご飯が美味しいのがムカつく――。

「ホント、斎様はコロコロ表情が変わって面白いですね」
「好きで変わってるんじゃない!」

ご飯を飲みこんで言うと、クロは余裕そうな顔で訊ねてきた。

「じゃあ、何で照れたりするんですか?」
「それは―」

それは・・・クロが恥ずかしいこと言うから――・・・
そう言おうとしたが、言葉は飲み込んでしまった。

「べ、別に何でもない」
「―そうですか」

クロは気にする様子も無く、マグカップに紅茶を淹れ始めた。


「――それは、そうとクロ。
急に頼んでしまったが、お泊りの準備はできたのか・・・?」
「はい。ご心配なく、できましたよ。
ですが、それよりも心配なことがあるのですが・・・・」

珍しく不安そうな顔をするクロは、俺の前に紅茶を置く。

「何の心配だ?」
「――いえ・・・私が準備をしたのはいいものの、重要な“お泊りにくる方”がどの様な方かわからないのです・・・。
もし、下心で久しくお泊りのことを持ち出したのなら私はそれ相応の対処をしなければなりません・・・」
「クロ・・・心配しすぎだぞ・・・」

そこまで険しい顔をしなくてもいいだろ・・・と俺は呆れた。

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