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みんな同じ空の下
第23章 始まり
このことが公になれば、警備局に対する民の信頼は薄れてしまう。
隠してしまえば問題はないかもしれない。
しかし、ナミキに何の処分もないことはリノもアンリも受け入れがたいはずだ。当事者であるナミキさえ、ただ隠蔽するという話を納得しないだろう。
この場で密約を交わした方が、組織としては安全だろうし、この場にいる者達も何とか受け入れてくれるはずだ。
ハクトはナミキに向き合い、提案を告げた。


――ナミキが警備局を辞職することを条件に、ニナのことを黙っていた件を不問に付す。


ハクトの提案に、ナミキはふっと軽く笑った。
「なるほど。確かに警備局への損失を考えれば、真実を晒すよりはよほど良い提案ですね」
提案と言えば聞こえは良いが、実質は隠蔽のための裏取引だ。
リノは歯噛みした。
こんなことは正しいことではない。
だが、他に良い案も思いつかない。
今は、正しくないことを受け入れていくしかなかった。
ナミキは王都を出る前にニナに逢わせてほしいと願い、ハクトの計らいで短時間の逢瀬が叶った。
満足したのか、ニナに逢った後のナミキは実に清々しい表情だった。
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