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第23章 始まり

＊

ナミキは警備局を辞めて南凪地方にある故郷の村に戻った。
突然戻ってきたナミキに、両親や村人は何も訊かず、温かく出迎えた。
両親と共に畑を耕し、作物を収穫し、慎ましく暮らす生活は平穏そのものだった。
穏やかに時が流れ、半月が過ぎた頃。


「――ナミキさん」


鈴の鳴るような声で自分の名を呼ばれたことに気付き、ナミキは鍬を動かす手を止めた。
目に飛び込んできた、かつての妻だった女の姿に、ナミキは息をするのを一瞬忘れた。