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第29章 祭事行進

（…あんなに、良い人なのに…）
ナダだけではない。咬龍団の人々は皆、明るく、騒がしく、楽しい人々だった。
少なくともリノの正体を知るまで、彼らは親しみを込めて接してくれていた。


――本当に、彼らを捕らえることは正しいのだろうか。


本当は、彼らこそが正しいのではないだろうか。
彼らの正義が少しだけ解るせいで、リノは自分の中の正義を見失いそうになる。
（こんなことではいけない…）
自分は咬龍団を捕らえる側の人間だ。しっかりせねばならない。
何とか己を奮い立たせ、リノは祭りの賑わいの中に紛れているナダの姿を追った。