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第35章 女に戻った少女の決意

三年もの間、胸や尻を布で潰し、髪は短く切り、男の姿であり続けた。
咬龍団の拠点を捜す際に一度だけ、女の姿にはなったが、心が女に戻ったわけではなかった。
男の格好で、男のように振る舞う。それは偏（ひとえ）にハクトを守るための覚悟であったはずだが、今のリノはそれが見事に崩れ去っているとしか言えない。
だからリノは、一つの決意をして女に戻った。
邸に着いてすぐに、リノは持っていけるだけの荷物をまとめ、机に向かって書き物を始めた。
体も心も女に戻った今、ハクトを守ることなど、きっとできない。
役立たずが、ハクトの傍にいてはいけない。
リノは勝手に去ることを詫び、捜さないでほしいと書いた料紙を一枚置いて、誰にも何も告げずに王都を離れた。