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喘ぐなら、彼の腕の中で
第14章 爆発



─── 沙月は、20年続いている幼なじみだ。


俺が幼稚園の年長クラスに転入した時、沙月は2つ下の年少クラスにいた。

宮本家と綾瀬家は徒歩数分の距離にあり、親の年齢も偶然同じことから、昔から家族ぐるみの付き合いをしている。


……沙月は昔から負けず嫌いで、女っぽいところは皆無だった。

普通の女だったら嫌がる昆虫なんかも素手で掴んでたし、目を離すとすぐ海に飛び込むわ、坂道で走れば必ず転ぶわで
毎回体のどこかにキズを作ってる沙月といると、俺にも1人の弟が出来たような気分になっていた。


沙月は当然俺が愛人の子だなんて知らないし、今の大雑把な性格もこの頃から健在だったから

俺は沙月と一緒にいるのが居心地が良かったし
弟みたいだと思っていたのは最初の頃だけで

きっと俺の初恋は、沙月だったんだと思う。


………そして

小学校に入ってからも、ずっと沙月を見ていた俺は
沙月がだんだん兄貴に惚れていくのに気付いていた。


初めは、少なからずその事実にショックを感じていて
沙月がいつか俺を見てくれないかって思っていたけど


……小学3年の、あの真夏の日……

母の涙を見たその日から

叶えられない願いだと言い聞かせて、片想いのままその気持ちに蓋をした。



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