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喘ぐなら、彼の腕の中で
第5章 忘れさせて


「…っ、ん…」


午前中、何度も重ねたキスと同じ。
優しく私の舌を絡めとるように、莉央の舌が動く。

芹澤さんのデスクの上に座らせられた私と
目の前に立つ莉央と、視線の位置が同じ。

莉央の席から離れたから、暗くて表情がよく見えない。


「……寂しさを吸い取るって」


唇が離れたので、静かに口を開いた。


「結局は体を繋げるだけってことでしょ」

「やけに拘るな。
そんなに関係性って大事?」

「当たり前でしょ。
それが無ければ、男と女の秩序が保てない」


左膝を持ち上げられて、片足がデスクの上に乗る。

……曝け出すような恰好。
一気に体が火照り出した。


「尊敬するよ。
こんなことしながら、極論の説教?」


私の腰をぐっと引き寄せて、莉央は低い声で続けた。


「そーいう意味では清い関係じゃん。
俺もお前も “ 恋人 ” はいないんだから、誰も傷付かない」


……これこそが、割り切った関係か。

心がなくても、体だけ繋げたら
結果心の傷を癒すことが出来る……?


だけど快楽を得たり寂しさを忘れるのは、一瞬だけだ。

その都度、空しさを味わうことになるんじゃ……


「沙月、力抜け」


ハッと我に返ると
いつのまにかショーツが脱がされていて、莉央に耳元で囁かれた……


次の瞬間


「……! あっ…!」



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