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第1章 芽生え

「聖美!！」

ある日の帰宅前の片付けをしていた時、突然彼に呼ばれた

私の名前を呼び捨てで呼ぶのは旦那だけ

旦那がこの場に居るはずもないのに、名前を呼ばれた私は

「はぃ～！?」

素っ頓狂な返事をしてしまった

ニヤニヤした彼は「呼んでみただけ～っ」と笑っていた

私は恥ずかしくなった

そして、嬉しかった

何の感情もなかったはずだけど

不器用な彼が弟みたいに可愛いと思っていた私

ちょっとだけ、何かが違う感覚を覚えた

髪を切って来た彼

刈り上げた襟足がジョリジョリして気持ち良さそうだった

思わず触れてみた