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わざとじゃないの
第10章 快感の先に
「温泉で大声で愚痴をこぼす女がどんな人か知りたくなったんだ。

しかも大声で下ネタ叫んでんだぜ?

もう物音を立てないように必死だったよ」



そうだった。


私は昨日先輩に温泉での独り言を聞かれたんだった



今更だけど顔が赤くなるのを感じた



「で、ちょっとからかってみたら、想像以上に船越の反応が可愛くてさ。

俺のことよく知らないみたいだし、

もっと遊びたくなって、

自分でもビックリするくらい強引に迫って、

番号まで教えてた。

だから電話をくれなかった時は寂しかったよ。

それでつい今日会いに来たんだ」


最後は恥ずかしそうに私から目をそらして下を向いた。


そうか、先輩もこういうことには慣れていないのか


普段は女の方から来てくれるからかもしれないけど、

それでも私にはこんな強引なのが嬉しくてしょうがない



「先輩」


先輩が顔を上げて私を見る。


私はそっと先輩の顔に手を添えて、

自分の唇を先輩の唇に重ねた。


短い、一瞬だけのキス
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