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第13章 現実逃避

きっと私の状況を聞きたいんだろうけど、

無理に聞いてこないところが直樹らしい。


私は直樹の優しに感謝しつつ、

懐かしい思いで会話を続けた。


「部活で噂になってる？」

「俺とお前のこと？それともお前と長瀬ってやつ」

「両方、かな」


直樹は下を向いて少し笑うと顔を上げた。

きっと部活帰りなんだろう。

学校のジャージを着ている


「俺らが別れたことはもう周知の事実だよ。

理央と長瀬については、みんな適当にいろんなこと言ってるな。お前が浮気してたんじゃないか、とかな」

「してないよ、浮気。」

「わかってるよ」


うん、わかってるよね

直樹の言い方や仕草で、

私のことを疑っていないことはわかる


「周りには俺が否定してる。

気持ちのすれ違いで別れたんだって言ってるよ」