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わざとじゃないの
第14章 現実
心の中で苦笑いをして、私はそんな考えを頭から追い払った。


今の私が直樹のことをどう思っているかは、

今更考えたってどうしようもない。


だったら考えない方が幸せだ



直樹は立ち上がった


「ほら、行くぞ。臭いなんて気にしねーよ。お前がファブリーズなら俺は制汗剤使ったし」

「制汗剤ね・・・」

「乗れ乗れ」


直樹は自転車にまたがって後ろの席を叩く。


「裏道通って行くぞ」

「私今金ない」

「500円持って走ってきたパターン?」

「うん」


よくわかってるなー


「いいよ。もともと奢るつもりだったし。暗くなる前に送り返すから、親への連絡も心配ない?」

「うん、適当に誤魔化すから平気」


「よっしゃ。じゃあ行こうぜ」
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