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吼える月
第17章 船上2
 

 激しく喘ぐユウナの顔が、切羽詰まったように歪んでくる。


「あっ、ああ……っ、サク、サク……恐いよ……ぅ、飛んじゃう……っ」


 ユウナの声音が震え始めた。


「大丈夫、俺がしっかりと姫様を支えてますから」

「ふぁぁ、ん、んんっ……ああ、駄目。駄目、駄目、駄目、イ……っ」


 息を詰まらせたユウナの身体がさらに仰け反る。

 サクは粒をいじっていたその手をユウナの細い腰に巻き付かせて、止めとばかりに思いきり強く秘部を吸い上げた。



 じゅるるるる。


「イ……っ、ク………っ!!」



 一瞬、動きを止めて身体を強張らせ、そして直後にがくがくと身体が痙攣をし始めた。

 その一部始終を己の目で見届けたサクは、寄り添うように身体を伸ばしてユウナを抱きしめ、紅潮した顔で苦しげに息をつくユウナの顔中に、啄む様に口づけた。


「姫様……っ、姫様……、ああ…可愛い……ですっ。たまらねぇほど、可愛くて可愛くて……っ」


 その手は、ユウナの呼吸を落ち着かせるように優しく背を撫でた。

 捌け口のないサクの身体は、内に狂おしいほどの熱を籠らせてるものの、その表情は……自分の手でユウナを果てに連れ、そして自分だけがユウナの美しい乱れ姿を見れたのだという、心の充足感を示すかのように……、穏やかで優しいものだった。


 あえて聞かなかった。

 ……ユウナが行き着いた果てに、誰がいたのかと。


 聞かずにいたのは、サクの……予防線。

 いまだサクが怖れ続ける、ユウナの中のリュカの影を払拭するために。


 本音は聞きたかった。


 "サクが居る"


 いつでもその答えを待ち望んでいる。



 繋がれなくても、自分はいつもユウナと一緒にいるのだと。

 心もどこまでも一緒なのだと。


 そう言って貰いたいのに――。



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