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大蛇
第5章 虚しい夜
「こんな紳士的な方初めてよ、エリー、あなたが羨ましいわ」

娼婦たちは口々にルロイを褒めた。

「ようし、じゃあ俺は今日はマノンちゃんにしよう」

ジャンは、亜麻色の髪の少女の手に、騎士のようにキスをした。

「俺だってジェントルマンだぜ」

「ちょっと違うのよねー、でもジャンさんもいい人だけど」

娼婦たちとジャンは楽しそうに笑い合っていた。

「行きましょう」

ルロイの手を取り、黒髪のエリーが彼を部屋に案内した。

                     *

薄暗い部屋の中には、大きな寝台が一つ真ん中に置かれていた。

エリーは素早くドレスを脱ぐと褥に横たわり、ルロイの準備が終わるのを待った。

ルロイも裸になり、エリーの横に座った。

「どうしてほしいですか、おっしゃって下さい」

エリーは事務的な調子でそう言った、もはや言葉を交わす暇も与えぬほど彼をしゃぶり尽くすオルガとは異なり、ルロイは調子が狂ってしまう。

「何でも。君の好きなようにしてくれ」

ルロイはエリーを見つめる。

エリーは戸惑いながらも、ルロイにそっとキスした。

生きた小鳥を丸呑みにするような大胆な口づけではなく、そっとくちばしで突くような軽いものだ。

「受け身なプレイがお好きなのですね」

エリーはルロイに囁くと、彼の裸の胸を弄り出した。

ルロイは悶え、苦悶の声を上げる。

そして彼女はルロイのペニスを掴み、摩擦を与えた。

「オルガ・・・オルガ・・・・・」

ルロイの唇から、彼の思い人の名が漏れた。

エリーは別に驚かない。

昔の恋人や妻の名前を行為中に口にする客など、飽きる程見てきた。

彼女はただ、自分の仕事を完璧に遂行することのみに気持ちを集中させていた。

ルロイは目を開けると、彼の目の前にいる女性がオルガではないことに驚きとショックを受けた。

俺はこんなに彼女を求めているのに、どうして彼女はここにいないのだろう・・・・・

ルロイはみるみる色を失い、エリーとの行為を続けることが虚しくなった。

「ごめん、もういいや」

ルロイは財布を取り出し、数枚のお札をエリーに渡した。
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