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大蛇
第5章 虚しい夜
「おっ、早いじゃないか。もうやることやったのか」

そのとき、陽気な笑いを響かせてジャンが姿を現した。

彼は二人の娼婦の肩を抱いている。

「ミリーちゃんも呼んじゃったよ。美女二人に責められてたまんないわ」

ジャンは娼婦たちの頬にキスをした。

彼女たちはころころ笑う。底抜けに明るく能天気なジャンを見ていると、いつしかルロイの強張った心も緩んできた。

オルガにまたいつか会える日がくるかもしれない。

強い想いがあれば、彼女にきっと届くかもしれない・・・・・

ルロイは掌に宿る希望の光を感じていた。

「おい、ルロイ。おまえ、さっきより顔色が良くなってるぞ。やっぱり失恋に効くのは女だよな」

ルロイは、ジャンの屈託のない笑顔に彼が羨ましくなった。

とにかく、悩んでいても仕方がない。

どうにかしてまたオルガと・・・・・

ルロイの脳裏に、ふとボーモン大佐の強面が浮かんだ。

これは禁じられた恋なのだ。

近くにいるようで、誰よりも遠くにいる女・・・・・

だが、恋に落ちてしまったルロイにとって、引き返すことはもはや不可能だった。

オルガ、オルガ、オルガ・・・・・・・

ルロイは彼女の姿を思い描き、恋しい気持で胸が張り裂けそうになっていた。


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