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大蛇
第2章 危険な出会い
これこそが本物の男だ。
自らを犠牲にすることを厭わない気高さを買われ、彼は三五歳という異例の若さで大佐に昇進した。
ボーモン大佐は、過去の戦争で片足と性機能を失っている。
それでもなお猛々しい気迫を保ち続ける彼のことを、ルロイは心の底から尊敬していた。
方やボーモン大佐も、ルロイを並々ならぬ者と評価していた。
おそらく休暇中も、心身の鍛錬を怠っていなかったのであろう。
野生動物のような迫力が満ちている。
初めて士官学校で会った時から、この男こそ自分の背中を任せるのにふさわしいと感じていた。
「でもまあ、今日くらいは堅くならず、お祝いとしよう。
今夜、うちに来なさい。ご馳走を用意して待っているよ」
ボーモン大佐はにっこり笑ったが、依然として目の奥には鋭い輝きがあった。
「光栄です」
ルロイはそう言って敬礼し、大佐の前から引き下がった。
その夜、ルロイはボーモン大佐の屋敷までやってきた。
「本物の男」に背中を預けられたことに非常に感激し、それと同時にプレッシャーに押しつぶされそうにもなっていた。
彼は今一度襟を正し、屋敷の呼び鈴をならした。
「いらっしゃい、お待ちしておりましたわ」
ルロイを出迎えたのはボーモン大佐ではなく、彼がこれまで目にしたことがないほど艶めかしい女性だった。
烏色の長い髪と陶器のように白い肌のコントラストが眩しく、スリムな体つきにも関わらず、信じられないような豊かなエロティシズムが滲み出ていた。
ルロイは一瞬、言葉と思考を失った。
まるで彼女の中に、彼のちっぽけな思念が丸ごと呑み込まれてしまったかのように。
「はじめまして、私はボーモンの妻ですわ。あなたがルロイ・ソガ中尉ですね」
言葉の出ないルロイは、ただ頷いた。
ボーモン夫人の圧倒的な存在を前にすると、ルロイは自分自身を取るに足らぬ者のように感じた。
俺の分際で、何が禁欲だ。
この女性の前では、そんなものはくだらない。
どうだろう、この美しさ、溢れんばかりの色気は・・・・・
「よく来てくれた。紹介しよう、私の妻・オルガだ。」
夫人の後ろから、ボーモン大佐が姿を現すと、ルロイは現実に引き戻された。
そうだ、彼女は大佐の「所有物」なのだ。
それを忘れてはいけない。
自らを犠牲にすることを厭わない気高さを買われ、彼は三五歳という異例の若さで大佐に昇進した。
ボーモン大佐は、過去の戦争で片足と性機能を失っている。
それでもなお猛々しい気迫を保ち続ける彼のことを、ルロイは心の底から尊敬していた。
方やボーモン大佐も、ルロイを並々ならぬ者と評価していた。
おそらく休暇中も、心身の鍛錬を怠っていなかったのであろう。
野生動物のような迫力が満ちている。
初めて士官学校で会った時から、この男こそ自分の背中を任せるのにふさわしいと感じていた。
「でもまあ、今日くらいは堅くならず、お祝いとしよう。
今夜、うちに来なさい。ご馳走を用意して待っているよ」
ボーモン大佐はにっこり笑ったが、依然として目の奥には鋭い輝きがあった。
「光栄です」
ルロイはそう言って敬礼し、大佐の前から引き下がった。
その夜、ルロイはボーモン大佐の屋敷までやってきた。
「本物の男」に背中を預けられたことに非常に感激し、それと同時にプレッシャーに押しつぶされそうにもなっていた。
彼は今一度襟を正し、屋敷の呼び鈴をならした。
「いらっしゃい、お待ちしておりましたわ」
ルロイを出迎えたのはボーモン大佐ではなく、彼がこれまで目にしたことがないほど艶めかしい女性だった。
烏色の長い髪と陶器のように白い肌のコントラストが眩しく、スリムな体つきにも関わらず、信じられないような豊かなエロティシズムが滲み出ていた。
ルロイは一瞬、言葉と思考を失った。
まるで彼女の中に、彼のちっぽけな思念が丸ごと呑み込まれてしまったかのように。
「はじめまして、私はボーモンの妻ですわ。あなたがルロイ・ソガ中尉ですね」
言葉の出ないルロイは、ただ頷いた。
ボーモン夫人の圧倒的な存在を前にすると、ルロイは自分自身を取るに足らぬ者のように感じた。
俺の分際で、何が禁欲だ。
この女性の前では、そんなものはくだらない。
どうだろう、この美しさ、溢れんばかりの色気は・・・・・
「よく来てくれた。紹介しよう、私の妻・オルガだ。」
夫人の後ろから、ボーモン大佐が姿を現すと、ルロイは現実に引き戻された。
そうだ、彼女は大佐の「所有物」なのだ。
それを忘れてはいけない。