この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
大蛇
第9章 疑惑
*
しかしオルガの想いとは裏腹に、大佐は妻の不貞をさらに強く確信するようになった。
明くる日、大佐は仕事へ向かう途中、ルナール邸の前を通った。
いつもの道は、石畳の舗装中で通行止めだったのだ。
何気なく車窓風景を見ていた大佐は、
アンヌ・トートリッシュがルナール邸の敷地に人目を憚るように入っていく様子を目にし、
何かただならぬものを感じた。
アンヌはつばの広い帽子を被り、厚いヴェールで顔を覆っていた。
大佐は、アンヌの小柄な体格と独特のひょこひょこした雛鳥のような歩き方で、
すぐに彼女がアンヌだとわかった。
マダム・ルナールは、一部の者たちにはレズビアンとして有名だった。
夫の死後、自分好みの女たちと自由奔放に楽しんでいるという噂を耳にしたことがある。
もしやアンヌは、ルナールの子猫の一人なのではないだろうか。
ルロイと夜の営みがうまくいかず、ルナールの元へ走ったのかもしれない。
そういえば、アンヌの家族はルナールと仲が良かった。
その可能性は十分ありうる。
大佐は軍帽を深く被り、腕を組んで物思いに耽った。
しかしオルガの想いとは裏腹に、大佐は妻の不貞をさらに強く確信するようになった。
明くる日、大佐は仕事へ向かう途中、ルナール邸の前を通った。
いつもの道は、石畳の舗装中で通行止めだったのだ。
何気なく車窓風景を見ていた大佐は、
アンヌ・トートリッシュがルナール邸の敷地に人目を憚るように入っていく様子を目にし、
何かただならぬものを感じた。
アンヌはつばの広い帽子を被り、厚いヴェールで顔を覆っていた。
大佐は、アンヌの小柄な体格と独特のひょこひょこした雛鳥のような歩き方で、
すぐに彼女がアンヌだとわかった。
マダム・ルナールは、一部の者たちにはレズビアンとして有名だった。
夫の死後、自分好みの女たちと自由奔放に楽しんでいるという噂を耳にしたことがある。
もしやアンヌは、ルナールの子猫の一人なのではないだろうか。
ルロイと夜の営みがうまくいかず、ルナールの元へ走ったのかもしれない。
そういえば、アンヌの家族はルナールと仲が良かった。
その可能性は十分ありうる。
大佐は軍帽を深く被り、腕を組んで物思いに耽った。