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甘く、深く、繋がって
第15章 守りたい
桐生さんは結システムの入ったオフィスビルを少し過ぎた辺りで車を停めた。丁寧にお礼を伝えて、降ろしてもらう。
「帰り、時間が分かったらタクにメールするか店に電話して下さい」
「えっ」
驚いて見つめると桐生さんがクスリと笑った。
「タクが、そうしないと安心出来ないみたいですから。ね?」
じわっと頬が熱くなる。
「……は、はい」
「ではまた、夜に」
「はい」
車を見送って会社に向かう。
数メートル歩いたところで後ろから声を掛けられた。
「真純ちゃん」
びっくりして肩が跳ねる。振り返った私の右隣に並んできたのは
「……黒田、さん」
「おはよう」
「……おはよう、ございます」
足が止まった私の背にごく自然に左腕を回し、歩みを促してくる。軽く押されて二三歩進んだところで
「今の、彼氏?」
覗き込んで来る、一見爽やかな笑みにまた足が止まった。
「ち、違います」
「彼『グラン・ブルー』の店員さんだよね?」

……どうしよう

黙り込んだ私に更に顔を寄せてきた。
「朝帰り?」
「っ違います!」

そんな噂、桐生さんに申し訳ない。

「そう?」
右の口角がふっと上がったかと思うと、黒田さんが私の頭に顎を埋めた。
「やっ!」
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