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甘く、深く、繋がって
第15章 守りたい
咄嗟に屈んで、黒田さんから逃げようとして失敗する。右腕をがっしり掴まれてしまった。
「うん、違うみたいだね」
何を根拠に判断したのか、黒田さんがニッと笑う。
「は、離して下さい」
「ダメ」
私の右手に左手を絡ませて
「彼の事の黙ってて欲しがったら、このまま一緒に出勤して?」
黒田さんが私の正面に回り込んできた。

なっ……ひど、い
私は何を言われても構わない。でも、桐生さんに迷惑掛けないで……

「で、今日一緒にご飯食べて帰る。良い?」

……嫌。行きたくない。
斎藤さんと約束したもの。

「よ、夜は予定があるんです」
離してもらいたくて、手を引きながら返す言葉が震えた。
「珍しいね。この時期に早く上がれるの?」
右手はびくともしない。首を傾げた黒田さんの目が、怖い。
「……ちっ違い、ます。迎えに来て、もらうんです」
「あぁ、今の彼氏に?」
真っ直ぐ見下ろされて射竦められる。

怖い……怖いよ。

「く、黒田さんには、関係ありま」
「あんの。オレ、諦めないって言ったよ?」
またニコッと口角を引き上げた黒田さんにギュッと手を握られた。
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