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甘く、深く、繋がって
第15章 守りたい
「私、医務室から体温計借りてきますね」
後ろから着いてきていた田中さんが思い出したようにそう言った。
「だっ大丈夫です!」

黒田さんと二人にしないで!

慌てて言った私に構う事なくパタパタと足音が遠ざかる。
クスッと笑い声が降ってきた。同時にソロリと指が胸を這う。
「田中さん行っちゃったね」
「……おっ降ろして下さい」
「降ろすよ。あっちで」
黒田さんに抱き直されて、身体がより密着した。

ヤだ!

「良い匂い」
鼻先を髪に埋められて鳥肌が立つ。身を捩ったら益々強く抱き寄せられた。
「危ないよ」
不必要に顔を寄せて囁かれ、首にかかる吐息にゾクッとする。
「ん……」
知らず零れた声の甘さに血の気が引いた。

ヤだ。こんな身体……

黒田さんがクスクス笑ってる。
「降ろすよ」
言葉と同時、思いの外優しく寝かされたのは四人掛の長いソファー。横になってしまえば社内からは見えなくなるため、仮眠によく使われる。

ここ、駄目

直ぐに身体を起こそうとして
「休まなきゃ」
黒田さんに押し倒された。
「やっ!」
振り上げようとした腕をソファーに押さえ付けられる。
「注目されたいの?」
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