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第5章 燻るモノ

ついばむような優しい口付け。腰に回された左手に抱き寄せられてお腹が密着する。

あっ、えっ、まっ待って……

角度を変え、スルリと差し込まれた舌。びっくりして、身体を引こうとしたけれど大きな手に阻まれて身動きが取れない。

あ、やっ……

歯列の裏をなぞられてゾクリと震えた。柔く絡めとられて
「んっ……ふ、ぁ……」
漏れる吐息は恥ずかしい位に甘ったるい。
頭の芯が痺れるような感覚。足から力が抜けそう。
思わず縋りついて、更にキスが深くなった。
「ふ……ぅ、うん」

気持ち、良い……

ふっと頭が自由になった。カクッと下がった身体を支えられる。そのまま後ろに押されて、たたらを踏みながら机に座らせられていた。
その間も斎藤さんはキスを止めてはくれなくて、こんなに長いキスをした事のない私は息が上がる。
「ふぁ、んっ……はぁ」
ようやく離れた唇。思わず口で息をする。
「真純、やらしい顔してる」

え？や、やらしい？

指摘されて恥ずかしさに顔が熱くなる。でも目の前のほほ笑みは柔らかで、そんな事を言ったようには見えない。
スイッと距離を縮めた斎藤さんにペロッと唇を舐められた。