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甘く、深く、繋がって
第8章 刻む印
「真純の服は隠しました」
ニッコリ笑顔で付け足してリビングを出ていく。

そんな笑顔で隠しましたって……

緊張していた私は脱衣室の扉が閉まる音に、椅子の背に縋りながらその場に座り込んでしまった。冷たい床にお尻が触れて慌てて腰を浮かす。

や、休めない……

よろめきながら立ち上がる。Tシャツの裾を引っ張り掴まっていた椅子に浅く腰掛けた。
はぁと深く息を吐く。ペットボトルに直接口を付けて水を飲んだ。
緊張と長風呂と、カラカラだった喉に冷たい水が染み渡る。半分位を一気に飲んでやっと少し落ち着いた。

居心地の悪い体勢で待つ事およそ四十分。
斎藤さんはスウェットのパンツを履き、上半身は裸、タオルで頭を拭きながら現れた。
細身なのに、腕にはしっかり筋肉が付き、適度に盛り上がった胸筋と八つに割れた腹筋。鍛えられた男の人の、身体。
ドキドキして、目のやり場に困る。俯いていると、斎藤さんがすぐ目の前まで歩いてきた。
「俺にも水ちょうだい」
延ばされた手にミネラルウォーターのボトルを渡して、でも顔を上げられない。
「ありがとう」
斎藤さんはそんな私からあっさり離れてリビングのソファーに腰を下ろした。
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