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五十嵐さくらの憂鬱。
第14章 …14
「どうした?」
「いえ…」
「体調悪い?」
「だいじょ…ぶ…です…っ」

顔が赤くなっている。
耳まで赤い。
熱でもあるのかと思っていると
ふと瞬きをして、苦しさが遠のいた顔をした。


「えっと…修さん、でしたっけ?」
「うん」
「…何か面白い本ないかなって…」

本棚に向かってさくらは視線を走らせる。
髪の毛を耳にかける仕草が、妙に色っぽかった。

「本、好きなんですか? 小春からちょっと聞きました」
「本以外に好きなものが見当たらない、って感じかな」

さくらはなるほど、と言って笑った。

「これなんか、面白いよ」

修は目に入った小説を手に取り、さくらに渡す。
受け取ってまじまじと表紙を見て
さらに目次をじっくり読む。

「うん、面白そう…」

借りてみます、と言った笑顔が次の瞬間
若干引きつる。
身体を震わせて下唇を噛み締めた。

「大丈夫?」

さくらの顔が赤くなる。

「大丈夫じゃないだろ? 保健室に行こう」

修が手を伸ばすと
さくらは怯えてよけた。

「携帯も鳴ってるよ?」
「あ、ご、ごめんなさい…具合は大丈夫です…。
私、もう行きますね。失礼します」
「あ、ちょっと」

さくらは早足にその棚から見えなくなった。
修は本棚に目を移し、本を眺めていたが
大丈夫かけっこう心配になり
さくらの去った方へと足を向けた。

キョロキョロしながら進むと
さくらがうずくまっているのが横向きに見えた。
顔が真っ赤になっていて、涙目だ。
誰かと電話をしていて必死そうにしている。

修が近寄っていくと、
さくらが別の方向に顔を向けた。
見れば、樹だった。

「あれ、修」
「樹…彼女、具合悪そうだけど平気?」

それに樹はうなづく。

「だから呼ばれて来たんだよ」

うずくまるさくらの表情が
なぜかものすごく色っぽい。
樹に立たされて、修に向かって一礼すると

「じゃ、またな」
「すみませんでした…」

と去っていく。
後ろ姿を見送り
ちょくちょくさくらが立ち止まるのを見ては
樹はニヤニヤしていた。

「なんなんだ、あいつ…」

大丈夫ならいいけれど。
修の脳裏には
さくらの涙目の赤い顔がしみついた。
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