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五十嵐さくらの憂鬱。
第2章 …2
しばらくして涙が止まる頃
さくらの手を顔からそっとはがし、
樹が温かいおしぼりをくれた。

「あったかいの飲みなよ」

勧められて一口飲んだココアは
柔らかい甘みの後にピリッとした刺激と
独特の香りが口に広がり、身体が一瞬で温まった。

「なにが入っているの?」
「ジンジャーだよ。口に合う?」

さくらはうなづいてもう一口飲んだ。
身体が温まったせいか
気持ちも落ち着いてきて
いつの間にか先ほどの出来事をポツリポツリと
樹に話していた。

半べそで帰っていた所を目をつけられ
無理やり髪を引っ張られて
怖い思いをした。

話すうちに恐怖は遠のき
悲しい、という気持ちだけが残る。

「大丈夫。あいつらには、ずいぶん脅しをかけたし…」
「本当に、動画撮っていたの?」

それに樹は首を横に振って、
少し申し訳なさそうにした。

「そんなことしている暇なかった。
声が聞こえて、見たらさくらちゃんが後輩に襲われかけてて…。
慌てて録画したふりをして止めた」
「そっか…。来てくれて、本当に助かりました」

樹はさくらの髪を優しくなでる。
まるで、それが当たり前のような自然さで。

「だいぶ脅したから、
もう絶対あんなことないと思うよ」

それより、と樹は心配そうな顔をした。

「なんで、泣きながら歩いていたの?
彼氏とケンカでもした?」

図星すぎて、うなづくことしかできなかった。

「ケンカの理由、聞いてもいい?」

その問いに、固まる。

ーーー理由っていうかーーー

締まりが悪いと言われたことを思い出せば
ショックを通り越して血の気が引く。

「なかなか会ってもらえないし
会ってもあんまり楽しくないっていうか…」
「セックスが?」

またもや図星すぎて固まり、
返事ができないまま樹を困った顔で見た。

「…当たり、かな?」

ココアを見つめて
しばらく考えてからうなづいた。

「光輝は…たぶん、興味ないんだと思う。
女の子全般に対して。
家も近いのに、月に数回しか会わないから
もっと会いたいってワガママ言ったら
つきあったっていうだけで、俺は満足だから
会わなくても平気って言われたし…」

樹は渋い顔をした。

「会いたいって言うの、ワガママじゃないよ?」
「光輝はワガママ言うなって」
「お互い好きで認め合って恋人だろ?
さくらちゃん、光輝くんに振り回されてない?」
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