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五十嵐さくらの憂鬱。
第16章 …16
「はぁーーーーぁ」

大きすぎるため息に、
翔平の周りの通行人が、びくりと肩を震わせた。

無駄に背も声もでかい翔平は
割りと人を驚かせてしまうことが多い。

「どうしたんだよ、青木」

どん、と強く背中を叩かれて
翔平はげほ、と咳き込んだ。
見れば、バスケ部の先輩である、斎藤だった。

鬼デビルというあだ名がつくほどの
バスケ熱心な先輩は、
バスケをしていない時は、割と優しい。

授業終わりの廊下で
翔平は斎藤に半べその顔になった。

「ぜーんーばーいーーー!」
「わ、なんだよ、どうしたどうした!?」

翔平の顔とオーバーリアクションに
斎藤篤斗はたじろいで数歩下がった。
それを追いかけるように
翔平がどすんどすんと近寄る。

「俺、もう…はぁぁーーーー」

わけがわからないという篤斗におかまいなしに
翔平は篤斗の肩をつかみ、
その後、何かに気づいて
篤斗の後ろに隠れた。

「いや、お前…。わかってると思うけど
隠れられてないからな」

そうこう言っているうちに
前から2人組が歩いてきた。

ひょろりと背の高い男。
目を引くほどではないが、美人で可愛らしい女の子
ーーー樹と、さくらだ。

それに気づくと、篤斗も
ああ、と 思った。

「青木、あの子に気があるのか?」

気があるもなにも…。
ーーーさくらを最初に好きになったのは自分だーーー

科は違うものの
共通科目の授業でいくつか初めの時に一緒になった。

おとなしく、変にケバくなく
おしとやかで、さっぱりとした美人系。
華の大学生だと、キャピキャピする女子が多い中
華美なところがないたたずまいに
惹かれたのは翔平の方だ。

「…俺のが先だったのに…」
「え!?」

篤斗の声に、翔平ははっとして口を手で押さえた。

「…え、俺何か言いました…!?」

自分でもまさか心の声を出してしまうなんて、と
翔平は目を白黒させた。
篤斗も驚きを通り越して絶句している。

「言ったもなにも…まじかよ、青木…」
「うっわ……よりによって鬼デビルに聞かれるなんて…」
「あ、てめぇ、そのあだ名‼︎」
「だってー」

言い合いと軽く殴り合いをしていると
その騒ぎに気づいて
さくらが翔平を見てぱっと表情を明るくした。

ーーーずるいぞさくらーーー

そんな顔するなよ。
友達の特権は、今や翔平には
苦痛でしかない。
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