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五十嵐さくらの憂鬱。
第16章 …16
「翔平!」

さくらが手を振るので
翔平もしぶしぶ手を振った。

「どうしたの、ケンカ?」

こういうところが、さくらの天然だと思う。
けんかしている最中の相手に
けんか?と聞くか、普通は。
翔平は毒気を抜かれていつものくせで
さくらの頭をぽんぽんしようとしてーーー樹に止められた。

「こんにちは、青木くん、斎藤」

笑顔の裏に
手を出してんじゃねーよ、というのが丸々分かる顔。
翔平はう、と言葉を詰まらせた。

「2人は、これから授業?」

そうとは知らず、当のさくらはのんきだ。

「いや、俺はもう卒業で授業ないからな、部活しに来た。
見張ってないとこの大声バカがアップしねーから」
「してるっすよ!」

耳元でうるせーよ、と2人はまたもやギャンギャン騒ぎ出す。
それを見てさくらは面白くて笑ってしまった。

その表情に、翔平がキュンとしたのは言うまでもない。

「2人はこれからどっかいくのか?」
「ううん、お家に帰るよ。
課題がけっこう大変で」

その課題に使う参考文献なのだろう、樹が持っているのは。
お家にとは、樹の家に帰るということだろう。
我ながら、目ざといなと思いながら
翔平はポリポリと頭を掻いた。

その背中をどん!と篤斗が叩いた。

「青木!
んな、煮え切らない顔してんなって!
お前がいくらこの子のこと好きでもさ
相手が悪いって!」

こちらも、翔平に負けず劣らずのでかい声。
その大きさにも驚いたが
篤斗以外が内容に驚いた。

「なっ…先輩!?」
「いいだろ、いまさら!」
「こんの、鬼デビルがーーー!」

翔平は篤斗の胸ぐらをつかんだ。

「おい、やめろって」

怒りか恥ずかしさか、はたまたその両方かわからないが
真っ赤な顔の翔平が今まさに篤斗を締め上げようとしといて
樹は慌てて止めに入った。

「好きなら言っちまえよ!
お前らしくないぞ!」
「つったって、もう相手がいんだぞ!」
「ばかやろう!
いようがいまいが、選ぶのは彼女だろうが!」

落ち着けって。
樹の制止に、2人は一瞬止まる。

わけがわからなくて
さくらだけがしどろもどろしていた。

「さくら…その…」

篤斗から手を離して、翔平がさくらに向き直った。

「その……」

その後の、言葉が続かない。
翔平が歯を食いしばると
篤斗の声が静かに響いた。
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