この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
五十嵐さくらの憂鬱。
第16章 …16
「俺、もう足つる!」

そう言ってブランコの椅子に立ち上がって乗り
翔平はさらにスイングを大きくする。

垂直まで行くんじゃないかというくらい
翔平はブランコを大きく漕いだ。

「翔平、そんなやったら危ないよ」

そう言いながら
さくらもチャレンジしようとブランコの上に立つ。

「お前、ドジなんだから気をつけろよ!」

横からバカでかい声で翔平が注意するのを尻目に
べーと舌を出してさくらは立ち上がって漕ぎ出した。

小さい頃はあんなに簡単にできた。
その感覚のまま
膝を折り曲げして漕ぎ出すと
あっという間にすごいスピードが出る。

「きゃー、やばい、怖いー!」
「おい、本当に気をつけろよ!」

漕ぐのをやめてブランコにしがみつく。
それでもスピードはなかなか落ちない。
翔平がみかねて、ブランコから飛び降りて
さくらのブランコを止めた。

降りようとしてけつまずいて
翔平に抱きとめられた。

「ほら、バカ、言わんこっちゃない!」
「ドジじゃないもん」

離れようとした所を
ぐ、と包みこまれた。
驚きすぎて、翔平に抱きしめられていると気づくまでに
数秒を要した。

「…え、あの、翔平…」

離してという言葉を塞ぐように
抱きしめる力が強くなる。
翔平の匂いがした。
力の入れ方も身体のラインも、樹と違う。

途端に樹を思い出して
さくらは焦った。
こんなことしてるのは良くない。
離れようともがいたが
翔平の力は強くて、さくらを離さなかった。
だからと言って、苦しいわけではない。

「…翔平…」
「……分かってるよ」

分かってないじゃん。
さくらは口を尖らせた。

「…分かってるよ、さくら。
でもさ、あいつより前から、ずっと見てたんだよ、俺。
いつからかとか分かんないけど
ずっと見てて、好きになってたんだよ」

翔平の囁くような声が
抱きしめられた身体を通して聞こえる。
いつものバカでかい声でないことに
不安と、ドキドキと、焦りを感じた。

翔平から、そんなこと聞きたくなかった。
ずっと友達でいたいのだ。

「急に、他のやつのとこに行くなんてさ…」

その後の言葉が続かなくて
ただ、さくらを抱きしめる力が強くなった。
/249ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ