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五十嵐さくらの憂鬱。
第17章 …17
樹とさくらが別れたという噂は
あっという間に広がった。
それも、さくらが浮気をしたという
とんでもない尾ひれまでついて。

あの樹を、という声が、そこいら中から聞こえてくるようだった。
心配した小春が
さくらにつきっきりのごとく一緒にいてくれたおかげで
実質的な被害はなかったのだが
それでも女子生徒たちの驚きと疑惑の視線を拭えるものではない。

「さくら、大丈夫?」

小春の心配そうな声に
さくらは頷く。
実際、樹と別れて5日経つが
食事も喉を通らず、気力だけで授業に来ているようなものだった。

「大丈夫。はるちゃん、心配しすぎ」
「いや、だって、さくら、気づいてないかもだけど
日増しに顔色悪くなってるよ?」

それに大丈夫、と念を押すように言って
さくらは小春に笑顔を見せた。
この後、小春は授業で、さくらは1人、食堂で待ちぼうけだった。
その1人の時間を、小春が心配していた。

「大丈夫だから、授業遅れちゃうから行って。
ここで、少し寝て待ってるね」
「うん…分かった。でも、何かあればすぐ知らせてね!」

小春はさくらを責めなかった。
樹のことも責めなかった。
翔平には、少し眉を寄せたが、言葉をぐっと飲み込んでくれた。
それが、小春の強いところだと、さくらは思った。
噂好きの彼女だけれども、人のことを悪くは言わない。
常にニュートラルな感情を持ち合わせる彼女に
今1番さくらは救われていた。

小春が去って、秋の心地よい陽だまりで
うつらうつらしていると
ポンと肩を掴まれた。
そしてそのまま、強く握りつぶすかのように力を入れてくる。

「っ…!」

そこには派手な女子2人が立っていた。

「久しぶりね、五十嵐さくら」

キンキンした声が、真っ赤な口紅の中から漏れ出てくる。
真綾だ。
さくらの眠気が一気に吹き飛んだ。

「愛しの樹と別れて、気分はどーお?」

くすくすと笑いながら
真綾が携帯電話を鞄から取り出した。

「まあ、浮気現場を押さえられちゃ、樹も黙ってないわよね」

そこには、さくらと翔平の写真がたくさん残っていて
それを何十枚とスライドさせて見せてくる。

「これ、スライドショーにして、樹に送っちゃおっか?」

彼女の唇が呪禁を吐く。
さくらは耐え切れずに身をそらした。
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