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五十嵐さくらの憂鬱。
第7章 …7
この間怒られたばかりで気が引けたのだが
家に行けば
光輝はすんなりさくらを迎え入れてくれた。

「相変わらず忙しいんだね…」

散らかった食器と洗濯物を片づけ
その間、光輝は布団で睡眠を貪っていた。
よっぽど疲れているのか
ぐっすりだ。

その寝顔を見て、さくらは微笑んだ。

「寝てる時は可愛いのにな」

さくらもなんだか眠くなってきて
光輝の布団の中に潜り込んだ。

光輝が腕を伸ばしてきて
腕枕をしてくれる。
久々のその感覚にさくらは嬉しくて
胸にしがみつく。

「さくら、髪伸びたな…」

目を開けると光輝がさくらの髪を指に巻きつけて遊んでいた。

「長い髪好きだって言ってたから」
「そんな事言ったっけ?」

光輝は首をかしげるようにした。

「言ったよー!だから、伸ばしてるのに」
「でも俺、今はボブがブームなんだけどな…」

ボブ可愛いじゃん、と言いながら光輝はさくらを撫でた。
すんなりうなづけなくて
さくらは口を尖らせて光輝を見つめる。

「そんな目で見るなって。
さくらが伸ばしたいならそうすればいいし」
「だって…」
「お前、なんでも男の言うことホイホイ聞くわけ?
じゃあ俺ががっつりメイクのギャルがいいって言ったら
そういうメイクと服装になるの?」

そう言うんじゃないけど。
さくらは口ごもって、何も言い返さずに身体を反対向きにした。

ーーー好きな人の好みでいたいじゃんかーーー

どういう好み、にピッタリは合わせられなくとも
多少意識することはできる。
光輝が好きだと言っていたから
伸ばした髪は
どうやら今の光輝には要らないらしい。

ーーー髪の毛切っちゃおうかな…ーーー

そう思いつつも、
さくらは、樹が愛おしそうに自分の髪の毛を指に絡め
キスする姿を思い出した。
あの樹の仕草は、色っぽくてついみとれてしまう。

ーーーあ。もう、今は光輝といるのにーーー

思考から樹を追い払うと
さくらは光輝の手が胸を触っているのを感じた。

「……」

ブラの上から数回揉み、
それをずらして素肌に触れる。

樹に散々焦らされていた胸はすぐに反応して
熱くなってくる。

「っ…ン…」

光輝はさくらの髪の毛をまとめて首筋を出すと
ちゅ、とキスをした。
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