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五十嵐さくらの憂鬱。
第8章 …8
樹が住んでいたのは
割と近くのマンションの上の方の階だった。
二重ロックの扉を開けると
ラウンジが広がる。

そこからエレベーターで上にあがり
樹はさくらを部屋へと招き入れた。

さくらが小さく「おじゃまします」と言うのと
後ろでオートロックの鍵がかかる音が一緒だった。

「どうぞ、あがって」

電気をつけると、
そこは広いリビングが広がっていた。

「わ…」

自分との生活とあまりにも違うレベルに
さくらは戸惑い、そのまま立ちすくんだ。

「あったかいの淹れるから、座っていなよ」

オープンなキッチンは割と整理されていた。
男子1人で住むには広すぎる気もするくらい広く
そして、生活感はあまりなかった。

居心地悪くソファに腰掛けると
樹が横から覗き込んでくる。

「先に、シャワーでも浴びる…?」

さくらは首を横に振った。

「そんな。シャワーだなんて滅相もない…。
いいです、すぐ帰ります」
「滅相もないって、どんな古めかしい言葉だよ」

樹は楽しそうに笑うと
さくらの頭をくしゃくしゃと撫でて
毛先にキスをする。

「帰さないよ、姫。
今夜はここでお泊まりだ」
「え…!?」

樹は驚くさくらを見下ろして
当たり前だと腕を組んだ。

「あんな危ない元カレ、追いかけてくるかもだろ。
さくらのアパートじゃ、俺はさくらを守りきれないからな」

といっているうちに
ヤカンの沸く音が聞こえて
樹はキッチンへと向かった。

「ど、どうしよう…お泊まりだなんて…」

実のところ、
さくらは彼氏のうちに泊りに行ったことがない。
光輝は仕事の邪魔になるからと許してくれず
その前は高校生だったこともあってかなわなかった。

「どうしよう…初お泊まりが、こんな素敵なところで…」
「なに、初なの?」

独り言を聞かれて慌てて振り返ると
カップを2つ持った樹がいた。

「や…あの、ですね…その…つまり…」
「つまり初ってこと?」
「……。はい…」

それはいいや、と樹は隣に座ってさくらの頭を撫でた。

「思い出に残るだろ。
男の家に初お泊まり」

忘れられない夜になりそうな予感がした。
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